「クチュール・セリエ」は長い伝統がもたらした私たちの財産です。この“手縫いの芸術”とも呼べる技術は、もともと馬具を作っていた革職人たちにより、今日まで伝えられてきました。
このノウハウは、次第に他業界の職人、とりわけ時計ベルトを製作する職人たちへと広まりましたが、非常に細やかで正確さと根気を要する「クチュール・セリエ」の技法を用いて時計ベルトを製作しているのは、今日ではカミーユ・フォルネ社を初めとするごく限られたメゾンだけなのです。

「ベルメール」と呼ばれる木製のペンチで皮革は固定され、突きぎりで穴があけられます。糸は革によく馴染むよう天然のビーズワックスでコーティングされています。1本の糸の両端にそれぞれ針をつけて職人が厚い革にステッチをかけていきます。その両手の素早い動きは熟練したセリエだけが成しえる類稀なる技なのです。
このサドルステッチの美しさは、一目見ればお分かり頂けるように逸品の証と言えます。このようにサドルステッチは一針一針縫い進められる為、非常に丈夫な時計ベルトが出来上がるのです。サドルステッチはカミーユ・フォルネ社の時計ベルトにおける最高のクラフトマンシップの証と言えるでしょう。

このサドルステッチの製法は、オーダーから納品まで半年以上かかるとも言われるエルメスのケリーバックの製法と同じものですが、ベルメール(木製の大きめのベルトを挟む道具)で挟んだベルトに特殊な糸を使って行われる「クチュール・セリエ」による縫製作業にはベルト1本につきおよそ25分もの時間を要します。
ベルトの表と裏のステッチが一致するよう1本の糸の端と端にそれぞれ針をつけ両手で縫うこの技法により仕上げられたカミーユ・フォルネ社のベルトは、他には類を見ない丈夫さと洗練された美しいフォルムに象徴されます。

今日、ベルト幅は1ミリ単位で作られており、同様にステッチの縫い終わりの糸の結び目にまで注意が払われています。時計のケースにベルトを取り付けるためには、ステッチの糸の結び目が邪魔してでこぼこになってしまうようなことがあってはならないのです。